アブサンとアニスのお酒

ABSINTHE e PASTIS
アブサンとアニスのお酒

画家のロートレックやゴッホに愛された
”緑の妖精”とも呼ばれるアブサンはスイスで
生まれたと言われており、にがよもぎ、アニス、
フェンネルなどのハーブとスパイスを漬け込んだ蒸留酒です。
19世紀末期のベル・エポック期に爆発的な
人気になるものの、1915年ごろに製造が禁止になり、
およそ90年におよぶ密造時代が続き、1981年の
WHOの承認を受けて、2000年に完全に復活した。
にがよもぎを使った薬用酒は、紀元前16世紀には
作られていたことが分かっており、ワインに
にがよもぎを浸す今のヴェルモットに近かったと言われています。
その後、錬金術師による蒸留技術が確立された
15世紀ごろにアブサンの原形があったと思われます。
ちなみに、近年の研究でよもぎが持つ成分が
ガン細胞を死滅させる、という研究結果もあるそうです。

アブサンが禁止になった理由として、ニガヨモギが持つツジョンという成分が幻覚作用などを及ぼすとされた事によります。

諸説ありますが、このツジョンの幻覚作用は現在でも、成分検査による確認はされていないんだそうです。

それでも禁止になったのは、当時の社会情勢にあった、とも言われています。1890から1900年ごろのヨーロッパは、社会情勢が荒れていて、市民たちに、相当数の飲酒中毒者が出たそうです。その上、アブサンの流行。アブサンは通常、水で3倍から5倍に希釈して飲むものなのですが、それをストレイトで飲んでいたようです。映画の「ムーラン・ルージュ」でロートレックが飲んでいる緑色したお酒がアブサンで、緑色の妖精をカイリーミノーグが演じていますね。68度という高アルコールのお酒をストレイトで飲めば、そりゃオカシクなります。

そこで政府はこれを取り締まることにします。しかし、禁酒令では困ることが起きます。そうです、支配階級が飲んでいるワインまで禁止にしなくてはいけません。それは、どうしても避けたい、アブサンだけを禁止にしたい。

そこで目をつけたのが、アブサンに使われているニガヨモギだったんです。アブサンには作り手にもよりますが、8種類以上のハーブとスパイスを使っていると言われています。このうち、ニガヨモギが最も汎用性のない植物だったので白羽の矢が立った、と言われています。

「ニガヨモギの持つ成分ツジョンが身体に悪影響を与えるから禁止」とすれば、みごとアブサンだけを排除することができます。

残念ながら、この話も実証のしようがありません。が、しかし、ありそうな話だと思いませんか?

ちなみに、スイスでは、この禁酒令の期間も連綿とアブサンが作られていました。「緑色のお酒=アブサン」であれば、緑色でなければ良いんでしょ?というわけで白いアブサンを作りだしました。なので、スイスのアブサンは白いアブサン(アブサン・ブランシュ)が大勢を占めている、と言われています。

余談ですが、インフルエンザの特効薬タミフルが何から作られているか、ご存知ですか?じつは、アニスなんだそうです。そう、アブサンにも入っているアニスです。アニスには解熱作用があることが分かっていて、漢方の世界でも解熱としてアニスが処方されているんだそうです。つまり、アブサンを飲んでいれば、インフルエンザ知らずになるかも!?

「お酒は百薬の長」という言葉が、かならずしも、酒飲みによる言い訳のような理論ではなく、意外にも西洋医学的にも立証されていたんですね。

 

■ヴィユー・ポンタリエ Vieux PONTARIER ¥1500-
フランス・アブサンの郷里ポンタリエでアランビック蒸留による
100年以上の歴史と砂糖を使わない、アルプスのハーブによる
伝統的な作り方のアブサンです。

■アン・エミール ラ・ブランシュ UM EMILE La Blanche ¥1500-
ベル・エポック期のレシピに基づいた2回蒸留による、
アニスが刺激的なアブサン。

■エミル・ペルノ ブルジョワ EMILE PERNOT BOURGEOIS ¥2000-
個性的な味わいが多いエミル・ペルノ社では珍しく、
ベーシックでバランスの良い味わいの
はじめての方にオススメしたいアブサンです。

■キュブラー KUBLER ¥1000-
アブサン発祥の地、スイス・クーヴェ村の近くにある
トラヴェル渓谷で昔ながらの方法で作り続けている老舗。

■ラ・シャルロット LA CHARLOTTE ¥1200-
19世紀のレシピに基に自社農園のハーブを
伝統的な方法で乾燥させ、化学物質無添加の
自然な甘みと華やかな香りの、女性的なアブサン。

■ヴェルサント VERSINTHE ¥800-
南フランスはプロヴァンスのリキュール・メイカーの
CEOだったパスカル・ローランド氏が、その情熱により
フランスで一番はじめにアブサンを復活させた。

■ヴェルサント ラ・ブランシュ VERSINTHE La Blanche ¥900-
48℃という低温での蒸留により、イキイキとしたハーブの
ニュアンスがある、透明なスイス式のアブサン。

■ミス・アブサン・トラディショナル MYTHE ABSINTHE TRADITIONAL ¥900-
南フランス産。着色料や香料などは無添加で、
伝統的な緑色が美しい、ハーブが香るアブサン。

■アドナムス アブサン・ルージュ ADNAMS ABSINTHE ROUGE ¥1000-
イギリスの港町サウス・ウォルドにある老舗ビール会社が
古いフランスのレシピを入手し、ハイビスカスの花で
紅く色づけした珍しいアブサン。

■トレーネ・プレミアム TRENET PREMIUM ¥900-
可愛らしい味わいとエメラルド・グリーンが美しいアブサン。
ベースにビーツ・スピリッツ、さらに着色していることから
アブサン界の嫌われ者。ナゾの多いメイカーでもある。

■ハプスブルグ・クラシック Hapsburg CLASSIC ¥900-
背の高いボトル、72.5度という高いアルコールながら、
にがよもぎを使っていない、という理由で”ニセモノ”
呼ばわりされている。

■ラ・ベルト・ド・ジュー La Berthe de Joux ¥2000-
伝統への懐古主義的なアブサン界から、未来指向アブサンへの
ジャイアント・ステップになる、エミール・ペルノ社の
蒸留技師たちの美意識の結晶。